成功を生み出したチームとの違いは、政府の対応の違いでもあったのか。
ジーンのチームは評価され、研究費も増額された。それを知れば、他のチームは不満に思うことだろう。
「知らない事が多すぎる」
同じ施設にあって、初めて知る事柄の多さにベリルは小さく唸る。
「まあ、そんな機密を実験体に教える訳は無いよね」
ベリルはそれに、妙な違和感を覚えた。
確かにそうではあるけれど、ジーンの言葉はまるで他人事(ひとごと)のように聞こえる。
終った事に尾を引かないのはベリルもだが、ジーンはそれよりもさらに外側にいるように思えた。
「心配しないで。あいつからは、僕が守ってあげるから」
「施設から逃げ出せたのだな」
襲撃を受けたとき、生き残りはいないと思っていた。



