──ベリルがいた施設の内部は、夜間でも通路は明るい。しかし、その部屋だけは他と違っていた。

 寝付けずに施設内を彷徨いて見つけた部屋は、常に薄暗く設定されていると窺えた。誰もおらず、低く唸る電子音だけが響いていた。

 そこには、デスクに並ぶ、いくつもの水槽に沈められた何体もの──

「誰だ」

 再び、問いかけた。

「僕はジーン。よろしく、父さん」

「ジーン」

 その名に、ベリルの心臓はドクンと高鳴る。まだ、生き残りがいたのか。