「大丈夫?」

 爽やかな笑顔がベリルに向けられる。

 ベリルは、知らない人間がまた庭に入っている事に眉を寄せる。セキュリティは一体、どうしたのかと頭を抱えた。

 青年は銀色の髪と鮮やかな海の瞳に無邪気な表情を貼り付けているが、その手にあるハンドガンは随分と使い込まれている。

 住宅街を意識してのものだろう。銃身には、音を抑制するサプレッサーが取り付けられている。

 どこか期待のこもった瞳に、ベリルはいぶかしげな目を向けた。

「誰だ」

 刹那──海を思わせるその青い瞳に、過去の記憶が鮮明に蘇る。

 それは、遠い記憶だ。