残った政府のデータも人工生命体は死亡とされ、埋もれるように乱雑なままデータベースの奥底に仕舞われる事となった。

 科学者たちが付けた名が政府に知られれば、彼は再びA国に呼び戻される。けれど、ベリルはそれに抵抗する気は無い。ただ生まれた場所に戻るだけだ。

 アルカヴァリュシア・ルセタ──ヨーロッパにある小国は森林が多く常用語はアルカヴァリュシア英語。イギリスの言葉に近い。

 街並みはイタリアを思わせる青い空の似合う風景が主だが、周辺の国の影響を受けている事が街の建物から窺える。

 研究施設は森の中に隠すように建てられ、数々の失敗を繰り返しベリルが生まれた。