それとは逆に、全てが優遇された生活がベリルには与えられていた。政府は、キメラに出来る限りを注ぎ込んだ。

 そうまでしたのはやはり、ベリルの持つ素質に気付いたからだろう。驚異的なスピードであらゆる知識を吸収していく様は、彼らを驚かせたに違いない。

 人工生命体は知識をどこまで吸収するのか──それを追求したくなるのも当然かもしれない。

 莫大な予算をつぎ込み、政府はキメラに最高の環境を与えるべく施設を増設していった。自由はなかったが、学ぶことに苦痛は感じなかった。

 倫理的にも大いに問題がある研究成果は国家最高機密となり、ベリルが十五歳のとき突然の襲撃に遭い施設は壊滅──全てのデータはチームメンバーが全て焼き払い、襲撃者に渡る事はなかった。