このまま、やられてやる訳にはいかない。ベリルはクレーンから飛び降りてフォージュリを一瞥し遠ざかった。

 絞った引鉄(ひきがね)から放たれた弾丸はベリルには当たらず、舌打ちをして追いかける。

「もう嫌なんだよ。偽物なんて」

 みんな死んだはずなのに、殺したはずなのに、なんで俺をそんな目で見る。残ったのは俺一人だ。なのに、いつまでオリジナルを見てやがるんだ。

 フォージュリの目は血走り、ぶつぶつとつぶやきながらベリルの影を探し回った。

 ベリルは彷徨うフォージュリを目で追いながら、彼の言葉を反芻する──よもや、クローンまで造られていたとは思いもしなかった。

 人工生命体の成功が新たな悲劇を生み出していたことを知り、吐き出せない苦しみに己の胸ぐらを掴む。

 施設の襲撃でそこにいた職員、集められた学者などベリルが知る限り、三百人全員が武装した集団によって残らず殺害された。