「あんたに、どれほど会いたかったか──オリジナルのあんたにね」

 これは殺意だ。ベリルは肌に伝わるピリピリとした痛みに眉を寄せる。

「笑えるだろう? フォージュリだって! 初めから偽物なのは解っているだろうに、この名前!」

 喉の奥から絞り出すように笑い。大きく手を広げ「みんな聞け」というように声を張り上げる。

 しかし、その声は上空を通過する大型旅客機の音にかき消された。

「クローンチームは、あんたのチームを羨ましがってた。そりゃそうだ。偽物じゃなく、本物を扱えるんだからな」

 あいつらが扱えたのは、あんたの細胞と俺たちクローン! 惨めだよな。本当に惨めだ。

 自虐めいた甲高い笑い声が響き渡る。しかし突然、ぴたりと止まりベリルをじっと見据えた。