そのなかにクローンに関する問いもいくつかあり、彼らはそれに答えた。

 彼らが嘘を吐いていたとは思えない。従来の方法とは別の方法を試し、それが成功したのだろうか。

 どんなに信じられなくとも、自分のクローンだと名乗る者が目の前に現れた。その真偽はわからないものの、施設について知る者であることは疑いようがない。

「他にも、何人かクローンがいたけど」

 青年は上目遣いにベリルを見やると、

「俺が、みんな殺した」

 その恍惚とした目の輝きにベリルは顔をしかめる。

 何かがおかしい。言いようのないこの嫌悪感、吐き気がする。目の前にいるのは、本当に人間なのか。

「襲撃を受けたとき、クローンの俺たちは隠し部屋にいたから助かったのさ」

 まさか、本家のチームからも隠されていた地下の施設が見つかるとは思わなかったけどね。

「何故、殺した」

 ベリルの問いかけに、フォージュリは悪びれることもなく、さも楽しげに口角を吊り上げた。

 子供じみた笑みの奥底に潜む闇がちらつく。

「決まっている。俺以外に必要無いからだ」

 フォージュリはそう言い捨ててベリルを睨み付けた。