「キメラからのクローン作成」──その目的は定かではないが生まれたキメラの細胞が特殊なものであったために、その計画が持ち上がったのだろう。

「面白いよな。人間の胎内を介さずにあんたを造り出しておいて、今度はそのクローンだってさ。だから俺には、あんたと違って母親と呼べるものがいる」

 フォージュリの目は、明らかな優越感を表していた。

 人工生命体からのクローン──その実行のため、秘密裏に研究者が集められた。今までに無かった事柄であり、今後も携わることが出来るか解らない魅力的なものともいえる。

 生命という、最も身近で有りながらも、未だその定義すら定められていない。その一端に触れられる機会を誰もが逃したくはないだろう。

 そんな場所があった事にも驚きだが、クローンが成功していたことにもベリルは驚きを隠せない。

 ベリルの細胞からはクローン胚の作成は不可能だと聞かされていたからだ。

 三歳のときに自身の出自を知らされ、それから研究チームのメンバーはある程度の質問ならベリルに答えてきた。