True colors

｢…えっ、沙耶が…。はい、分かりましたすぐ行きます。｣


(沙耶……？)


｢麻梨亜悪い、急用ができてすぐ行かないと。｣


｢…うん、分かった。またね。｣


(すごく慌ててどうしたんだろう……。)


私は岸田君に悪いと思いながらも隠れて後を追った。

彼の正体が分かる気がして……。


行き着いた先まで来て後を追ってきたことを後悔した。


｢病院……。しかもお母さんが事故の時運びこまれたとこだ…………。｣


ここまで来てしまって後には引けず私は岸田君の後をつけた。


慌てて病室へ入って行く岸田君。


(……岸田沙耶……。)


｢沙耶、大丈夫か？｣


中から声が聞こえてきた。

｢大丈夫だよ。ちょっと熱が出ただけだから。｣


(あれ……、もしかしてあの子……。)


ベッドで寝ている女の子の顔が岸田君の影に隠れてよく見えない為、私は少し身を乗り出して覗いた。


｢あっ！！｣


ベッドの上の女の子が私を見つけて指をさした。


(しまった！見つかった！)