「麻梨亜〜!」


今日も大声で私を呼ぶ岸田君。


一日に十回以上名前を呼ばれている気がする……。

「相当麻梨亜の事が好きなんだね。」


と美樹は笑いながら言うがどうしてもそれは違うと思った。


私は彼が私の事を好きなんだという気持ちが伝わってきたことが一度もない。

一体何がしたいのかと考えながら苦手な数学の授業を受けていると、携帯がチカチカと光った。


「今日デートしよ?」


岸田君からメールだ。


丁重にお断りしよう。そう思いながらも苦手な数学の問題を解くのに必死で返信するのをすっかり忘れてしまった。


いつも通り帰りの支度をしていると、誰かが私の腕をガッチリ掴んだ。


「麻梨亜、行くぞ!」


(げっ、岸田君…。あっ!そういえばメールきてたっけ…。すっかり忘れてたぁ〜!)


私は岸田君に引きずられるかのように一緒に帰るはめになった。