｢私もそのうち引退する。この会社は専務に任そうと今のところ思っている。｣

(専務…。)


｢専務の息子なんてどうだ？ 麻梨亜ちゃんと同い年だし気が合うと思うんだが……。｣


(専務の息子……。海君じゃない息子…。)


専務の息子って聞くと、今はどうしてもイメージが悪い。でも……。


｢じゃぁ〜もしも卒業した時にお付き合いしてる人も好きな人もいなかったら考えます。｣


(先入観で人を決めてはいけないよね……。海君もすごく魅力的な人だし…。)


｢そうか！実は専務の息子は…………。｣


ガシャン！！


｢す、すみません…。手が滑ってしまって……。｣


｢渡辺さん！大丈夫ですか！？｣


｢君、大丈夫か？手が少し切れている。早く消毒した方がいい。｣


お父さんが付き添って渡辺さんと出ていった。


ああは言ったものの正直見合いの話しが中断されてほっとした……。