岸田君によって無理矢理一つにくっ付けられたストラップ。


私は授業中つい携帯をこっそりと出してストラップを見ていた。


見るたびに幸せで笑みがこぼれてしまう。


「そんなに俺の事が好きか?」


突然後ろから声がしてびっくりして携帯を落としてしまった。


「あっ………。」


ピシッと小さな音をたてて接着してあった部分が離れてしまった。


二つに割れてしまったハート。


「すぐに直せるからそんな顔するな。」


そう言って私の頭を優しく撫でる岸田君。


「今度は離れないようにもっと強力な接着剤で付けないとな。」


「岸田君………。」


「麻梨亜さぁ~俺の事いつまで岸田君って呼ぶわけ?普通付き合っててその呼び方はないだろ。直人って言え。」


「……直人。」


岸田君って呼ぶのに慣れてしまっていた私はなんか恥ずかしくなって真っ赤になりながら直人と初めて呼んだ。


「良くできました。」


岸田君は満足そうに私の頭を優しく撫でた。