「ただいま。」


帰宅するといつもの様に出迎えてくれる渡辺さん。

「あっ、渡辺さん私日曜日ちょっと朝から出かけます。」


いつも家を空ける時は心配かけないように家政婦さんに言うことにしているのだ。


「分かりました。美樹ちゃんとデートですか?」


「……いえ、違います……。」


恥ずかしくて岸田君と出かけると言えないでモジモジと小声で否定した。


「あっ、もしかして例の転入生とデートですか?」


「……はい。……デートってわけじゃないんですけど………。」


見透かされていたことで一気に顔が真っ赤になった。

「そういう事なら楽しんできて下さいね!最近冷えてきましたから風邪引かないように暖かい服装でお出かけ下さいね。」


「はい。渡辺さんありがとうございます。」


お母さんを亡くしているせいか、優しい渡辺さんをいつしかお母さんの様な存在に思えるようになっていた。