「はい、麻梨亜ちゃん。」


当り前のように私にクマのぬいぐるみをくれる海君。

「ありがとう……。」


周りの女子からの嫉ましそうな視線を感じながら私はクマのぬいぐるみを受け取った。


ふと横を見ると岸田君が悔しそうにうなだれていた。

「岸田君てすごい負けず嫌いなんですね。」


そんな岸田君の姿がなんか可愛くて私はクスクス笑った。

「なんだよ!人の気も知らないで………。」


「えっ?」


最後の方が小声だったため聞き取れなかった。


「なんでもね〜よ!ほらっ麻梨亜、有り難く受け取れ。」


そう言って私にゴリラのぬいぐるみを渡した。


「なんか岸田君に似てない?このゴリラ………。」


「あっ?もう一回言ってみ?よく見てみろ。」


岸田君は私の顔にゴリラのぬいぐるみを押し付けた。


そんなうちらのやりとりを海君が寂しそうに見ていたことに私は全然気付いてなかったのだ……。