「麻梨亜……。」


「なんで岸田君がそんなこと言うんですか?私がそれを聞いて喜ぶとでも?」


「違うんだ……麻梨亜、俺の話しを……。」


「私の気持ちも美樹と大輝にどうなって欲しいかも全部知っているくせに……。岸田君はいつもそう。好きでもないくせに好きだとか今だって知りたくもない事をわざわざ私に言って……。そんなに私が困惑して苦しむ姿が見たいですか!」

俺を睨み付けるように言う麻梨亜。


「そう言うつもりで言ったんじゃない。……ごめん。」


麻梨亜にそっと近づき優しく親指で涙を拭いた。


「ごめん。川中大輝に嫉妬してたんだ。ほんとごめん。」


また感情が堪えきれず俺は麻梨亜を抱き締めた。


「麻梨亜が本当にそれで後悔しないならいいんだ…。ただ、余りに無理しているのが伝わってきて見苦しかった。それに俺は麻梨亜の事が好きだ。嘘じゃない。」


(ん……、今俺告白した…?)


今まで演技で何回も好きだと言ってきたが、素で言ってしまったことに恥ずかしくなって俺はパッと麻梨亜を離し、赤くなった顔を隠すように早歩きで階段を下りた。