先輩はすごい。
言ったことないはずなのに、私がコーヒー苦手なことを知ってるみたいだ。
「あのさ、雛ちゃん。
昨日の話を聞いてて思ったこと言ってもいいかな?」
くぃ、と顔を横に傾けてかわいい仕草の先輩。…計算?
「…はい。」
私は先輩の言葉を待った。
佐原先輩になら、何を言われても受けとめられる気がした。
「あんまり、過去を引きずろうとするなよ。
もしかしたら、これは雛ちゃんが好きだから思う気持ちなのかも知れないけど。
過去はもちろん大切なんだけど、いつまでも当てには出来ないんだ。
前に進むには、過去を受け入れて未来を考えて、現在を見るところから始まる。これ、俺が常に思ってることなんだけどさ。」
先輩の言葉は、私を励ますだけじゃなくて、そっと包み込んでもくれた。


