「時間が許さんのならば強襲法(砲撃の後に歩兵の突撃攻撃を仕掛ける事。要塞攻撃においては、正攻法に次ぐ次善の策)という事になるが…兵の犠牲がな…」

と乃木軍司令官も弱り顔で遠い空を見ている。

「第二軍も南山攻撃で4400名余りの死傷者を僅か2日で出しておりますから、それより旅順の防備が強化されてるとすれば、この者達の申す通りの結果も予想出来るでしょうな」

と満州軍作戦課長の松川敏胤(トシタネ)大佐も口を挟んで来た。

ひとあたり幹部連中の発言を聞いて

「問題は…」

と教授が言いにくそうに口を開いた。