「のーん。 怒んないでー。」 『べっつに怒ってませんよー?』 「ね、ケーキ食べたい。」 『何言ってんスか? これ、あたしのおやつですよ?』 こんなことで意地になるなんてあたしらしくないけど、今日は譲れない。 「え、のん?マジ? くれないの?」 『あたしのですから。』 ニコッと笑いかけて、延びてくる腕から逃げる。 「…のん。 ごめんって。 許して、ね??」 逃げきったつもりが、捕らえられた。 正面から抱き締められる。 「のんが作ったケーキ、食べたいな。」