「え?私もいるよ。」
「えー…どこ…あ!!いた!!」
「え?…あ!!ホントだ!!いた!!」
電話をかけながら俺を見つけた菜緒は、怒ってたはずなのに嬉しそうに手を振った。
菜緒は、俺がいるところの道路の向かいにいた。
そして、この時。
俺の中を後悔という言葉が埋め尽くすようになった。
自分で言うのも変だけど、遅刻してきた俺を見つけてよほど嬉しかったのか、菜緒はそのまま俺のいるところへ走った。
道路を挟んだ向かいにいる俺のところに。
けどそこは横断歩道でも何でもなかった。
菜緒は車道を横切るしかなかった。
そして菜緒は走って来た車に、はねられてしまった。
俺の目の前で。

