池内はそう呟いて、今にも泣きそうな顔をしながら、俺の話を真剣に聞いてくれていた。
俺はやっぱり菜緒がいないことを口に出すのは苦しくて、言わなきゃ仕方ないけど、話しながら心が締め付けられるような感覚がしていた。
「だけど、今は死のうなんて思わない。」
「……」
「菜緒のおばあちゃんに、菜緒の分も幸せになってって、生きてって言われたんだ。それに、俺のことを心配してくれる人がいるって思うと、死ぬなんて出来なかったし、乃亜をおいて死ぬことは出来ない。」
「…うん…」
「それと、池内が慎吾と俺のこと探しに来てくれた日、池内が俺に言ってくれた言葉が頭から離れなくて、死ぬなんて出来なかった。俺の中で、死ぬことが出来なかった理由はいろいろあるけど、あの日の池内がすごく大きかったんだ。」
「……」
「池内…」
「…ん?」
「……俺、池内が好きだ。」

