「乃亜、もう行くぞ。」
「はーい。いってきまぁす。」
「いってらっしゃい。気をつけてね。」
デカい声でいってきますを言う乃亜に、母ちゃんが玄関のとこで手を振る。
毎朝の光景ね。
「あ、にぃにー。」
「ん?」
「こうえんであそぼー。」
「幼稚園終わったらね。」
「えー。」
俺も遊びてぇよ。
でも学校あるし。
カンさん遅刻するとうっせぇしなぁ。
つーか、乃亜はちゃんと幼稚園行かないとね。
俺は毎朝乃亜を幼稚園に送り届けて、そのまま学校へ向かう。
幼稚園に制服姿の奴がいるのは、まずない。
他の幼稚園は知らないけど、乃亜の幼稚園では俺しかいない。

