「こないだお前がボコボコにされてた時さ、内田がいなくなって初めてお前泣いてるの見て、ちょっと安心した。」
「安心?」
「俺にさ、内田のこと話した時も、お前泣かなかったし、溜め込んでんじゃないかと思ってさ。家には乃亜ちゃんもいるし。」
「……」
「だからあの時泣いてんの見て、安心したけど、今日お前葬式の間中1回も泣かなかったからさ、無理してんじゃねぇかって思った。」
「最後、泣いたじゃん。」
「そりゃそうだけど、ホントならもっと泣くもんなんじゃねぇかなって思ってさ。やっぱ乃亜ちゃんの前ではお前も落ち込んでられないだろうし、強がってるだろうからさ。無理してないなら、別にいいけど。」
「うん…」
「じゃあな。」
「おぉ。…ありがとな、慎吾。」
「おぉ。」
そう言って、慎吾は俺んちからちょっとしか離れてない自分の家に帰って行った。

