俺は気付いたら席を立ちあがっていた。 一斉にみんなの目線が俺に向いてるのが、なんとなくわかった。 前にもこんなことあったような気がするけど、この時の俺にはそんなことを考えるほどの余裕はなかった。 「京平?」 後ろの席から慎吾も不思議そうに俺を覗いてる。 「どうした、京平。」 カンさんの声も聞こえる。 でも、俺の耳には遠く小さい声だった。 「おい、きょ…」 慎吾の声をさえぎって、俺は教室を飛び出した。 何も考えられなかった。 ただあのおばあちゃんの声だけが頭にあって…