電話の向こうにいるおばあちゃんは、数多くの言葉は発さなかったけど、泣いてることはわかった。 普通じゃない。 何かあった。 “菜緒が…”の先の言葉がなかなか聞こえてこない。 でも…さっきの嫌な予感。 何も言えなくなってるおばあちゃんからの電話を、俺は黙って切った。 “菜緒が…菜緒が…” さっきのおばあちゃんの震える声が、頭の中をこだまする。 「はい、じゃあ多数決取ります。」 そんな学級委員の声が、遠くの方で聞こえたような気がした。 菜緒が… 菜緒が… ガタン。