目が醒めると私は白い部屋の中にいた。
どうやら私はベッドの中で寝ていたようだった。
白い部屋の中は窓から外の光が漏れていて明るい。
(…多分、今は昼ぐらいか)
そんな簡単な推測が私の頭を働かせる。
その時、ずきっ…と額らへんが痛んだ。
(…そういえば左目が開かない)
私は目が醒めてから、左目で見ないで、右目で見ていた。
気になって指で左目らへんを触る。
(…布?)
布らしきものが頭から左目を通り、ぐるっと一周巻かれている。
「…あ、包帯か」
久しぶりに声を出した気がした。
私の髪は肩より長く金色に色が抜かれていて、服は多分手術着だと思われた。
(…ここは病院?)
手術着から見える自分の腕は、包帯がたくさん巻かれていて、所々血が滲み、何ともおかしかった。
そんなこと思っていると、部屋の向こうが何だか騒がしい。なにかあったのだろうか。
…何故か不安になった。
私はベッドから出て、ドアを開けた。看護師や医者が騒がしく目の前の廊下を走る。
たくさんの人が私の前を通りすぎていく。
「502の酒井さんまた抜け出したみたいです!」
「また?!もう尚樹くんは!」
そんな会話が頭に入ってきた。
今、私がいる部屋は505号室。
「青柳 空」と言う人の部屋だった。
502は酒井 尚樹というらしい。
…そんなことを考えていた。
「青柳さん起きたんですか?」
(青柳…?)
目の前に来た医者らしき人は私に言う。
もしかして
「…私のことですか?」
目の前の医者は顔に焦りを出し、目を丸くした。