「斉藤ー?」 女子トイレの外から坂田君の声が聞こえる。 「…」 私は黙っていた。 「っかしーな…ここじゃねーのか・・・」 上履きの音が遠ざかっていく。 …そろそろかな、と思いトイレを出ると誰かにぶつかった。 「あ、ごめんなさ…」 私は、途中で言葉を詰まらせた。 相沢 香穂先輩…。 さっきの坂田君と喋っていた時との表情とは一変して、 険しい顔で私を睨みつけている。