『なんだか嵐が一気に去ったな。』
「うゎっ!?」
優と日和がいなくなると、
次はまた誰かがあたしの隣に来た。
「…あ、薫かあ。おはよ。」
『はよっ。』
薫とは小学校からの仲だ。
いっつも日和と一緒にいて、あたしも仲良くなった。
クールで大人びていて、何よりもあたしにとっては
日和なんかより兄貴的な存在である。
そして、父の影響で8歳から始めたドラムの腕前は
日和のギターの腕前を超えるほどのものだ。
決して走ることのない正確なリズムは、
バンドの支えとなる。
(ただし怒ると叩く速さは異常になる。)
『和泉ネクタイ曲がってる。』
そう言いながら薫はあたしのネクタイを
ちょちょっと直してくれた。
「あー、ありがと。」
あたしは薫に恋愛感情はわかないが、
きっとこの優しさで
世の女をイチコロにするのではないか。
と、あたしは密かに思っていたりする…。
