部活の天使

しれっとした顔でそう言う。

「いじめだ・・・」

「腕出せ。」

碓井先輩が左手を差し出す。

私は警戒して腕を押さえながら後ろに下がる。

「ほら、拓未が怖いから。」

岸谷先輩はフッと笑いながら碓井先輩を見てる。

碓井先輩は岸谷先輩に救急箱を渡して窓側へ行ってしまった。

岸谷先輩は意地悪に笑いながら、

「素直になればいいのに~。」

碓井先輩の後ろ姿に話しかける。

「だまれ。」

外を見ている碓井先輩は少し不機嫌な声を出しながら岸谷先輩を目だけで睨む。

「じゃあ、手ぇ出して~。」

怖いものなしの岸谷先輩は碓井先輩を無視して私に優しく笑いながら救急箱をいじってる。

私はおずおずと服をめくる・・・と・・・

・・・自分でもちょっと驚いた。

「あ~・・・これすごいねぇ・・・ヒビ入ってなきゃいいけど。」

岸谷先輩はそう言いながら立ち上がる。

「わっ、いたぁ~」

中村先輩は私の腕を見ながら顔を歪ませてる。

「とりあえず、冷やしてみて腫れが引かんかったら病院やね。」

岸谷先輩はタオルを乗せて氷水の入った袋を乗せる。