少し小柄で、小動物を思わせる体。

ここで話は戻る。


「なぁ、枝垂」

「なんですか、先生」

「……石蕗と、何かあったのか?」

少し間をあけて言ったのは、胃から逆流してきた空気を押さえ込むためで、たいした意味はない。

「別に、何も」

また、この声だ。

聞くものに恐れを抱かせるような、そんな声。

「そうか。何もないんなら、いいんだ」

「はい。気にしないでください先生には関係ありませんから」

そう言って枝垂は自分の席についてしまった。