それから10分もしないうちに晴彦が現れた


『花乃子…待たせてごめん』とゼイゼイいいながら、私の肩に手をかけた


『私もごめんなさい…わがままばかり言って』


『結婚なんていつまででも待てるから。焦ってたんだ。花乃子がどこか行きそうで』


『結婚の約束もできない女なんて最低かもしれない。なのにそんな私事精一杯思ってくれた晴彦に感謝しなきゃ』


久しぶりのキスだった


久しぶりの肌の温もりだった


私にはやっぱり、この人でないといけないところがある


この人にだけ甘えられる自分は、まだまだ女だと思った


『展示会ね、すごく上手くいったの…喧嘩してなきゃ晴彦誘ったのに…』


『ホントだ。行きたかったな』


『そのかわり、今度この展示会行かない?部長の息子さんの…』と私は招待状を見せた


『へええ…インテリアデザイナーか。デートがわりにいってみるか』


『そうしよう。ねえ、淋しかった?』


『うん…花乃子の肌が恋しかった。あと手料理も…』


『じゃあ明日晴彦のマンション寄るから。ご馳走するね』


少年のようにはしゃぐ晴彦は可愛かった


素直になるって大切だ