わがままなメニュー

『長谷川さん…おはようございます…』と珍しく谷口しのぶが声をかけてきた


『昨日はありがとうございました…』


『おはよう、こちらこそ。楽しかったね、また行こう』


『…あの…彼女に…フラれたんですか?それともフッたんですか?』


…!!なんなんだコイツ!カンがいい!


『ええ?俺そんな事言ったっけ?』


『言ってないけど…なんとなく雰囲気で…』


『まあそれは君に関係ないだろ?』


『あるっちゃーあるんですよ…』


『え?』


『彼女と別れたんなら…道成寺の事…考えてやってくれませんか?』


『道成寺さん?どういう意味?』


『道成寺は前から長谷川さんが好きなんです…だからその気持ちに応えてあげて欲しいんです…』


『俺…まだ彼女と完全に別れたわけじゃないから…そういうの考えられないな…』


『道成寺は…すごくいい奴ですから…頭の隅に必ず置いてやってください…』


谷口しのぶはそれだけいうと、デスクに戻っていった


道成寺さつきが俺の事を?まさか…自分達の同僚にはイケメンがたくさんいるじゃないか


長い髪でほとんど見えない谷口しのぶの目は、今日に限ってしっかり見え、俺の目を捕らえていた


谷口しのぶ…意外に可愛い顔をしてる…