『俺が気に入った子に手をださないなんて初めて。なんたって野獣って呼ばれてるんだ』


『野獣なんて顔してないわ。中性的な顔立ちしてるし』


『それが怖いんだ。優しく見せかけて…ガブッ!なわけ』


『じゃあ私も気をつける。猟銃は部長ね』


『うまいこというね。親父の名前出されたらアウトだ』と直田さんは万歳するように両手をあげた

『私、会社じゃ自己チューの空気読めない女で有名なの。部長も認める変人…』


『友達いなくて孤立してるとか?』


『友達は一人いるけど、彼女も私同様かな…私ね、毎日お弁当は会議室で一人食べてるの。気持ちいいわよ〜6階から景色みながらお弁当』


『そりゃ変わってる』と直田さんはクスリと笑った


『なんか会社支配してる気分になれるんだから。気分良いったらないわ』


『花乃子ちゃんは将来独立して、会社するべきだよ。女社長が似合ってる』


『そこまでは思ってないけど…でも定年まで会社にしがみついて、いろんな事経験したいのよ。結構地味な夢でしょ?』


『地味。顔は派手なのに。花乃子ちゃんなら絶対独立できるよ。その時は俺も花乃子ちゃんの会社に行くから』


『ありがとう。待ってるからね』


冗談でも嬉しかった


未来を誉めてくれる人なんて、そういないから