実家について玄関をあけると、汚いスニーカーが揃えてあった


『ただいま…お母さんお客様?』


『美沙子の相手の人が来てるのよ…もう最悪だわ…』


『お母さん、お久しぶりです。大変な事になりましたね』


『晴彦さん!来てくれたの?助かるわ…今日お父さん逃げちゃって』


私はリビングのほうに歩いていった


そこには…


なんていうことだろう…

赤ちゃんを抱いた男が美沙子と並んで座っていた


『ちょっと!美沙子!どういうことなの』


『お姉ちゃん、声大きい…』と美沙子が口に指を立てた


『ちゃんと話しなさい。大学あと2年待てないの?今結婚しなきゃダメなの?』


『そのまえに私の彼氏紹介する。大友勇作さん、建設会社で働いてる32歳…この子は初音(はつね)ちゃんで1歳。勇作さんの子供よ』


『初めまして、大友勇作です。現場監督してます。あの…みてお分かりのようにバツイチの子持ちです』


『見ればわかります。美沙子は今一番大事な時なんです。なのに大学やめさせて結婚なんて、あなた何考えてるんですか』


『待って、お姉ちゃん。これは私の決断なの、結婚して家庭に入って初音ちゃんの面倒みたいのよ』


『だったら2年待ってもらいなさいよ。今やめたら高卒なのよ?』


『これからの2年は、初音ちゃんにとっては一番大事な2年なの!人間として成長していく大事な』


『他人の子よ?』


『結婚したら私の娘になるわ』


美沙子は一歩も譲らない