もう直ぐ今年も終わろうとしている。

キッチンでは忙しそうにおばちゃんがおせち料理の準備をしていた。

毎年、年越しは沙良と2人だった。

母の店では年越しイベントがある為、

母が帰宅するのは決まって朝方だった。

だからおせち料理も食べたことがなかった。

ヨシはソファーに寝転び、

アタシはソファーを背に座り、

2人で大晦日の特番を観ていた。


「おせち料理、
楽しみだなー」


下に座るアタシの腰に腕を回し、

抱き寄せられた。


「ヨシ?」


「…」


振り向くと、

優しい顔で気持ち良さそうに、

ヨシは眠っていた。

そんなヨシを見つめながら、

アタシは遠く鳴り響く除夜の鐘を聞き、

1人幸せを噛み締めていた。

腰に回るヨシの左手にそっと手を重ね、


「アタシ幸せだよ」って


呟いた。