8月のあの日、

佳矢は仕事へ行ったまま、

アタシの元へは帰って来なかったから。

そのことをアツは知っているから…。

起きてアツの帰りを待っている。

毎日、

毎日、

どれだけ酔って帰って来ても


「おかえり」


と言えば、

笑顔で応えてくれる。

それだけでアタシの心は不安から安心へと変わった。


「紗那、ただいま」