アネモネ*~風、君を愛す~



「紗那!」


「ママ」


母と父の姿を見た途端、

アタシは全身の力が抜けてしまった。


「ママ、ヨシが、ヨシが…」


「何も言わなくていいから。
栄子さんは?どこ?」


「おばちゃんは、
隣の部屋で打ち合わせだと思う」


「宏さん、紗那をお願いします。
私は栄子さんを見てくるから」


「わかったよ」


「…お父さん」


父はアタシの背中を、

優しく擦り続けてくれた。

あの日と同じ、

温かくて大きくてゴツゴツした手で…


「お父さん、ヨシが起きないよ。
ね、起きないよ…。何で寝てるのかな?」


父の目からは涙が溢れていた。