アネモネ*~風、君を愛す~



「突然でごめんね。
紗那と沙良に聞いて欲しいことがあって…。
こちら、ママがお付き合いしてる松井さん。
実は松井さんとね…」


母の言葉を遮るかのようにアタシは、


「言わなくていいよ。わかってるから!
ママ、結婚するんだよね?」


顔を上げて正面に座る母を見ると、

瞬きも忘れて驚いていた。


「ママ、口開いてる!
何アホみたいな顔してるの?」


「いや、そんなアッサリと言われると思ってなかったから、
びっくりしてしまって」


「アタシも沙良もね、もうそんな子供じゃないよ?
それにね、パパのことだって顔もあまり覚えてないんだから…。
アタシたちに気をつかわなくていいよ。
ママの人生はママのものだし、好きにしていいよ!」