アネモネ*~風、君を愛す~



手を繋いで家へと向った。

緊張しているわけではない。

ただ、家に帰るだけ、

それだけのこと。

それでも何とも言えない気持ちが押し寄せて来る。

普段、

お喋りなアタシが無言のまま歩いた。

ヨシの家から歩いて15分の場所にある我が家へ…

角を曲がればもう直ぐ。


「大丈夫か?」


「うん、大丈夫だよ」


アタシの気持ちを察したのか、

ヨシは繋いである手をギュッと力強く握ってくれた。


「ありがとう、ごめんね」


「気にすんな、
俺はいつでも紗那の味方だろ?」


「うん」