3時間歌いおわった後
カラオケ店の前であたしと真里わ別れた。
「ばいばーい」
「千佳ー!じゃあね〜」
バス停に向かうあたし
真里の家はすぐ近くだけど
あたしの家は少し遠い。
あまり人気のない路地。
後ろから
誰かが近づいてくる気配がして振り返ろうとした瞬間
ガバッ
誰かに抱きつかれた。
「きゃぁ―――――!!」
「俺だよ」
耳もとで甘い囁きをする男。
この声…
「たいちゃん?」
「…………」
「ねぇ…たいちゃんなの?」
手をとき顔をみると
暗闇の中にたいちゃんの顔があった。
「たいちゃん!!」
あたしはたいちゃんの手を握った。
え?
この手…
たいちゃんの…?
たいちゃんのじゃない…
「たいちゃんじゃない。…誰?」
「アッハハハハ」
男が笑い出した。
ビクッとなったあたしの肩。


