「あ…。ごめんなさい」
「たいちゃんって?」
答えたくない…
あたしは斜め下をずっと見ていた。
「千佳!!大丈夫?」
真里があたしの肩を掴んだ。
「真里…」
「もう〜!千佳のバカ」
真里はそう言って
ギャルを突き飛ばし
部屋を出ようとした。
あたしもその後に続く。
「あっ。ちょっ…おい!」
風があたしの手を掴んだ。
「な、なに?離して!」
「たいちゃんってもしかして彼氏?」
「か、関係ないじゃん」
「だって、俺に似てるんだろ?」
意地悪な笑みを浮かべる風。
「千佳の手を離して」
真里が風の手をおもいっきりはたく。
痛っ
と手を離す風。
真里に手を握られ
あたしは風から離れていった。
振り返ると
あの日…
車で見た最後のたいちゃんの顔と
風の顔が
重なった――…


