そして猛は俺の胸ぐらをつかみさらに壁に強く背中を押し付けた。
「うるさいっ!!!」


・・・・うるさくねーし・・・・。


「お前がいつまでも十和のこと好きだって未練がましく言ってるから十和もいつまで経っても離れらんねーんだろ。それで苦しんでんだよ。ほんとに十和のこと好きならあいつの背中押してやることくらいしてやれよ。」

俺は冷酷な目で猛を睨みながら言った。


「うるせえっ・・・!!」
そう言って猛は拳を振り上げて俺を殴ろうとした。
でも殴る勇気がないのか、振り上げた拳は震えていた。


コイツ・・・殴る勇気ねーのかよ・・・。もしかして人殴ったことねーとかじゃねーだろうな・・・。


俺達が睨みあっているときに部屋のドアが静かに開いた。
そして・・・出てきたのは十和。


何しに来たんだ・・・?


俺はわざと十和に気付かないフリをしていた。
猛はまだ十和に気付いていないのか、相変わらず俺を殴ろうとしたままだった。
俺はわざと挑発するように言った。
「殴りたいんなら殴れよ。」

すると十和が慌てて言った。
「えっ・・・?何・・・やってるの・・・?」
そしてやっと猛はそこで十和の存在に気付き、俺の胸をつかんでいた左手を離した。



そして猛は帰っていった。
これがさっきあったこと・・・・。