そこであたしが見たものは――・・・・


タケちゃんと・・・・幹・・・・。


あたしはしばらく状況がつかめずにいた。

そこには壁に押し付けられている幹とそんな幹の胸ぐらをつかんでいるタケちゃんがいた。


タケちゃんは幹を睨み、そして幹は壁に押し付けられてもなお、冷酷な目でじっとタケちゃんの目を見据えていた。



「殴りたいんなら殴れよ。」
幹が挑発するように言った。



「えっ・・・?何・・・やってるの・・・?」
するとタケちゃんがあたしに気付き慌てて幹の胸ぐらをつかんでいる左手を離した。


「あたし・・・なんかよくわかんないんだけど・・・?タケちゃん・・・何やってんの?」

幹は冷静な顔でタケちゃんを相変わらず睨んでいる。


「十和・・・あのなっ・・・俺の話聞い・・・。」
「うっさい。出てって。」
あたしは冷たくタケちゃんに言い放った。
「十和・・・。」


「出てって?邪魔だから。」

あたしは自分でも驚くほど低いトーンの声で言った。
タケちゃんは何か言おうとしたがすぐに家から出て行った。