好き、の先には

そこで、真麻のあのあいさつ。



「剣道部の先輩。3年生だからもう引退してるんだけどね。
それでも、たまに、放課後稽古にくるの。」



「ふ〜ん。」



「暁先輩は、中学の時から剣道が強くて有名だったの。
家が遠くて通えないから下宿してるんだって。」



うちの学校、剣道部強いもんな〜。全国レベルでしょう。

って言うか、剣道部だけじゃなくて、他にも全国大会に出ている部活はたくさんあるんだよね。

何げに文化部もそうだし、部活動がすごく盛ん。

私みたいな帰宅部は、逆に珍しいかも。


なんて事を考えていたら、後ろから私の肩を、トントン。


え!?何? と思いながら、後ろを振り向く。

あぐらをかいてる先輩だ。



「名前、何て言うの?」



「…渡辺、芙実、です。」



「芙実ちゃんか〜。俺、郷田(ごうだ)ね。
芙実ちゃん、バス通でしょう?この前、帰り一緒のバスだったんだよね。
芙実ちゃんのこと、覚えてる。」



「そう、ですか。」



帰る時間が同じなんだから、バスだって一緒になるでしょうよ。

って言うか、ウザイ。
話しかけてこないで。