『酔った?』

急に龍二が聞いてきた。
そういえば、さっきから同じ景色ばかり見ていたな‥私は龍二の方を向き無言で見つめていた。すると、龍二はシートベルトを外し私に近づいて来た。

『大丈夫?』

今度は私のシートベルトを外してくれた。体が自由に動くようになり、少し楽になった。

『大丈夫‥』

そう言った時、龍二にキスをされた。最初は突然の事で驚いたけど、私は目を瞑り、龍二を受け入れた。それが伝わったのか、龍二の手が私の腰にきたので、私は龍二の首に手をやると、さっきより強く抱きしめられキスも荒くなってきた。

龍二は呼吸を整えるために、一度唇を離してくれた。その時、私も少しだけ呼吸をすることができた。でも、すぐに龍二の唇が重なった。私は抵抗をしないでキスを続けた。

しばらくしてから目を開けると、龍二と目が合った。龍二は一度笑ってから、私が座っていた座席を後ろに倒して、私の上に覆いかぶさった。私は、今の状況を把握することが出来ず、龍二を見つめてしまった。これがいけなかったんだと思う。

龍二は、「いいよ」というサインと間違えて、耳に‥首にキスをしてきた。私は、どうすることも出来ずにただ流されていた。でも、龍二の手が、私の胸に触れたときは、さすがにこれ以上は!!と思い、龍二から唇を離し「イヤ!!」と抵抗をした。


私は、声を押し殺して泣いた。そんな私の姿に気付いて

『ごめん!!』

と言いながら、優しく抱きしめてくれた。

『本当にごめんな。怖かったよな‥』

何度も謝りながら私の頭を撫でてくれた。


しばらくしてから、私を解放してくれたので龍二の顔を見ることができた。龍二の目は、いつもの優しい目に戻っていた。


『少し驚いただけ。もう大丈夫』

笑って見せたけど、一粒の涙がポロリと流れた。

『本当にごめんな‥』

龍二は私の涙を拭って、もう一度優しく抱きしめてくれた。


『怖い思い‥させるなんて最低だな‥俺‥』

龍二が震えているのが伝わってきた。そんな龍二の姿を私は、愛おしいと思い‥私が龍二を抱きしめた。


『本当に、もう大丈夫だから』

そう言って笑って見せた。龍二も私に笑いかけてくれた。