雨が降っていた。 少女は傘もささず歩く。 その少女は心を閉ざしていた。 現実に飽き、ありえない小説の中の世界へと飛び込んでは、涙を流し、現実を憎んだ。 親はアメリカで仕事、18歳の兄と二人で暮らしていた。 学校は陰口を叩かれるだけの地獄。学校をサボり、図書館へ駆け込むのが日課だった。 ―――少女の名は、小柳悠稀(コヤナギユウキ)。 この冷たい世界を恨み、小説の世界に惚れ込む、悲しき時代の「被害者」であった。