「待って・・・待って朝飛くん!!!」
「ん?」
「何か・・・おかしいこと言ってない?」
「何が?」
何がって・・・朝飛くん自分で気づいてないの!?
ちょっと・・・バカ(笑)?

「つ・・・付き合ってみない?って・・・人気者の朝飛くんが私なんかに言う言葉じゃないでしょ」
「は? 人気者とか人気者じゃないとか、そんなの関係ねぇし。 付き合ってみない?って聞いたら駄目なの?」
「そういう訳じゃないけどっ・・・」
私だってそんなこと言われて嬉しいよ?
でもね・・・その言葉が、信用できないの。
たとえ、朝飛くんだとしても・・・。 ごめんね。

「そっか。俺のことが信用できない訳?」
朝飛くんは全て分かっていた。
「うん・・・ごめんね」
「じゃあ、これで信じてくれる?」


もう、気づいたときには唇が触れていた。
私は目を開けたまま呆然としていることしかできなかった。
「・・・信じてよ」
朝飛くんがつぶやいた。
朝飛くんは、私にキスまでして信じてもらおうと必死だった。
何でそんなに私に尽くしてくれるの?
それは本気なの?
ねぇ、私・・・朝飛くんと付き合っていいのかな─・・・?

「私・・・も、信じたいよ・・・・・。 でも、怖いの。 今まで何回も騙されて、からかわれて・・・私は利用されていただけだったから・・・」
自然と涙が零れ落ちる。
「泣くなよっ・・・」
朝飛くんは優しく私を抱きしめてくれた。
朝飛くんの胸の中は、すごく落ち着いたんだ。 居心地が良くて、ずっと抱きしめられていたい感じ。


あの時、私はあなたの胸の中で泣き崩れました。
そう。 その日だよ。

私があなたのことを「好き」だって気づいたのは─。