「17時42分─・・・御臨終です」

今、私の目の前には朝飛が居る。
そして悔しそうな表情の医者。
それに涙を流している朝飛のお母さん、お父さん。
私は・・・目も開いていない、眠りについた朝飛をただ呆然と見ている。
「朝飛・・・? 朝飛・・・朝飛・・・」
朝飛のことを何度も何度も呼んだ。
でも、何も応答がない。
「玲ちゃん・・・朝飛はもう起きないのよ・・・」
涙ぐみながら言う朝飛のお母さん。
「嫌だ・・・嫌だよっ・・・・・朝飛─・・・」
その場に泣き崩れる私。
私はなんとなく分かっていた。
だんだん朝飛が私から離れていきそうな気配を─。
でも、信じたくなかった。
朝飛がこの世を去るなんて─信じれないよ。
昨日まであんなに元気だったのに・・・
どうして・・・どうして朝飛なの・・・。
どうして朝飛を私から奪うの?・・・神様。




今思えば・・・あのとき、私がお父さんのもとへ行ってなければ・・・少しでも朝飛と一緒に居ることができたのに。
私は何をしていたの・・・?
本当に、後悔しています。
朝飛が逝ってしまったとき、どれだけ私もついて逝きたいと思ったと思う? 朝飛が居なくなるなんて、私がいる意味ないんだよ・・・。
でもね、かすかに聞こえたの。 朝飛の声が。

”お前は生きろ。 俺の分まで生きて、あの場所でまた会おう”

そう聞こえたんだ─・・・。