「私のことよりも、自分のこと考えてよ・・・」
私はそう言いながら、必死に涙をこらえる。
「・・・ごめんな」
「誤らないで・・・」
もう限界で、私の目からは小さな雫。
「この病気は・・・治らないの?」
「治らない」
即答する朝飛くんを見て、また涙が溢れそうになった。 
「手術しても治らないの?」
「手術が成功する可能性は25%。 それで成功したとしても、余命が長くなるだけで、もうすぐで俺は死ぬんだ」
「死ぬとか縁起悪こと言わないで! 朝飛くんがそんなんだったら手術は成功しないし、長く生きれないよ? 自分が弱気になってどうすんの! 私は朝飛くんのおかげで強くなれた。 お願いだから朝飛くんは弱気にならないで・・・」
「だよな・・・ごめん」
「私はずっと朝飛くんのそばに居るからね・・・」
気がつくと、朝飛くんも大粒の涙を流している。
「さんきゅっ・・・俺、お前と出会えて・・・少しでもお前を守ることができて幸せだった」
私は軽く微笑むと、朝飛くんに聞いた。
「これからはどうするの? ・・・入院?」
「いや、それは大きな症状がきてからで、今はまだ普通に生活していられるから・・・入院はしなくていいって」
「そっか」



朝飛くん・・・あの日、私は真実を知りました。
朝飛くんが病気のこと。 ガンのこと。
朝飛くんが長くは生きれないこと・・・
全部本当のことだったけど、私は弱気にはなっていなかったよ? 朝飛くんのおかげで強くなったからね。
今度は私が朝飛くんを守りたいって本気で思ったの。