教室に帰るとみんな楽しそうな顔で私を見つめる。
「もうー振ったって」私は呆れてみんなに言う。
「ま、分かってたけどね」と、亜矢子が私に言う。
「何でだろうね。性格よし、運動神経よし、勉強もできて完璧なのに光はどうして恋しないの?」と、腕を組みながら美優は私の机の前に来る。
「別に、好きな人いないんだもん」
「可愛いのにね」と、郁子も突っ込む。
私は窓側の席で退屈な授業に飽き飽きし、空を眺めていた。
ぱっと浮かぶさっきの男の子の顔。
あの子、何組なんだろう…。なんとなく気になるあの子のことを考えていた。
「光、ありがとう。」誰かわからないが一位の台の上で叫んでいる。
周りはその人に拍手をしていて歓声がすごい。
誰なのかが見えない。
私の名前を呼ぶのは誰?


